Type : Gasha-pon ver.2
て。次の日。
学校帰りにTSUTAYAに寄る。目的はもちろん。ガシャポンである。
例の機械の前に立つ。すると見慣れない文字が。
「売り切れです。入荷するまでもうしばらくお待ちください・・・」
一瞬、思考が停止する。深呼吸。スーハー。目をつぶる。大丈夫。きっと読み違いだ。
目を開ける。今一度読む。
・・・。
読み違いじゃなかった。
オーマイガッ!
昨日は・・・昨日はまだあったのに・・・。
昨日寄ったのが夜の10時半ごろだったから、まだ17時間ぐらいしか経っていないはず。
しかし、現実はどうだ。売り切れだ。
おそるべし。もやしもん。

数日後。
再びTSUTAYAの前を通り過ぎる。

復活している・・・!
この機会を見逃すまいと、近くのコンビニエンスストアで適当なものを買い、挑戦する。
今回は、3個やってしまった。

その後、二回TSUTAYAに立ち寄り、3個、2個、とやった。
計10個。財布が怒り出したので、とりあえずここらへんでやめておこう。

さて。結果は。
六種類。10個やって、ダブりが4個。これが多いか少ないかを判断するにはいかんせんガシャポン歴が少ないが、とりあえずコンプリートまであと二種類だ。

計10個というと、3000円か。まあささやかな大人買いですな。

今、机の横のホワイトボードはなかなかにぎやかなことになっている。
Type : Gasha-pon ver.1
ま、ガシャポンが熱い!ということをご存知だろうか。
いや、熱いはずだ。だって、俺の中でこんなにも熱いんだから。

始まりは、いつだったろう。二週間ほど前にさかのぼるだろうか。
時期は試験一週間前。穏やかならざる僕の胸のうちをよそに、突如鳴り響いた「You’got mail」の音。メールを見ると、TSUTAYAからである。「期間限定!準新作・旧作DVD、ビデオレンタル半額クーポン」。
なぜTSUTAYAはいつも試験直前にセールをやるのだろう。借りてしまうではないか・・・。

心ではわかっていながら、それでも抑えきれない熱い思い。自然と私の足はTSUTAYAへと運ばれていった。
無事(?)「ユー・ガット・メール」を借りて、外に出る。そこで、私の視線はあるものへ注がれた。

うちの近所のこのTSUTAYAは、なにせ秋葉にあるようなラーメン缶の自販機が置いてあるくらいで、ガシャポンもバラエティーに富んだ品揃え。エヴァからルパンから何かへんな豚まで。
その中で、爛々と異彩を放つものがある。(実際はかなり地味な外見をしていたけど。)

『もやしもん モネラマグネット』

こ。これは。伝説の・・・。
まずもやしもんの説明だが。これはまあ僕の人生に多大なる衝撃を与えたまんがでして。
んで。
知り合いのとある物理教師が、もやしもんのマグネットを「かぶるのがいやだから」というで箱買いした、という話を思い出した。
これが、その、例のマグネットでは!?
眺めているうちに、なんかものすごくほしくなってきた。

その教師は今度複数あるやつあげるよ、とか仰っていたが、それきり会っていない。突然「もやしもんのマグネットください」とかいって訪ねていったらどんな顔されるかな・・・。
これは「第2弾」と書いてあるから、その教師のはたぶん第1弾だったのだろう。

とりあえず。やってみることにする。300円。う。結構高い。。。財布を見ると、100円玉が1枚。
仕方ない。どっかでくずしてくるか・・・。
近くの薬局(近年はドラッグストアっていうのかな)でソイジョイのイチゴ味をレジに持っていく。1000円札を出し、「あ、500円玉じゃなくて100円玉でおつりもらえますか」と店員さんに言う。当然店員さんは変な顔をする。まあ気にしない。

そして意気揚々にガシャポンの場所へ戻る。
100円玉を三枚入れる。ハンドル(?)をまわす。「ガシャン」。カプセルが出てくる。
時間にして約10秒。しかし、その刹那の時間にどれほどの手に汗握るドラマがあったことか。
財布を見る。もう一回はできる。
そして一連の動作を繰り返し、戦利品はカプセル二つ。
さあ。帰ろう。

家に帰る。手洗いうがいをする。台所に行き、冷蔵庫からお茶を出し、棚から出したコップに注ぎ、飲む。部屋に戻る。
つばを飲み込む。
ご開帳である。(これって今はセクハラで訴えられるらしいね。もちろん今はその意味ではない。)
最近のカプセルはシールをはがさないと開けられないようになっているのか。
カプセルを開けると、さらにプラスチックのケースが入っている。何か高級感あふれるかんじだ。
そしてプラスチックについた紙をはがし、やっとでてきた。

おお・・・。
これは、かなり、なかなか、ううむ。

なかなかどうして、細かいつくりでリアル。フィギュアって感じだ。

ひとつのマグネットは2×1cmぐらいで、けっこう小さい。これがひとつのカプセルに(同じ種類のが)二つ入っている。
同封の説明書きを見ると、製作は海洋堂らしい。だからか。こっている。たしかに、300円の価値はあるかもしれない。
しかし・・・対象年齢15歳以上?15禁?高すぎじゃないですかね・・・
机の横にかけてあるホワイトボードにつけてみる。
Oh。
いいではないか。

この日は二個しかやっていないが、何かもっとほしくなってきた。全八種類。現在二種類。コンプリートまであと六種類。
なんだこれ
日はたしか「あさって」がやる日ではなかったろうか。
新聞のTV欄を確かめる。フジテレビで9:00〜11:10だ。
どうしようかな「あさって」。みようかな「あさって」。でも所詮「あさって」は「あさって」だしなあ。どうせB級映画だろうな。。
それ以前に「あさって」ってどういう映画だっけ。エイリアンが攻めてくる話だっけ。隣人が殺人鬼だった、っていう話だっけ。それとも17年前に母親を死なせた父親と仲直りするヒューマンものだっけ。

・・・どうやら違うらしい。「あさって」は何か、異常気象ものらしい。
ためしに見てみた。

―たしかにすごい「あさって」。やべえよ「あさって」。馬鹿にしてごめんなさい。
「もうあんたの瞳は子供の頃の輝きを失ってしまいました!」byとも
の、僕のきらきらした透明な瞳は、いまや濁った灰色な瞳に汚されてしまった。
そう、あの事件のせいで・・・。

話は2時間前にさかのぼる。(別に7年前にさかのぼったりはしない。)
17時には起きようと思って昼寝していたつもりが、いつのまにか17時半に。
遅れを取り戻そうと思い、いつもの喫茶店へと向かった。
喫茶店といってもカウンターで注文して自分の席へ持っていくという、セルフサービスな店なのだが。

まあ勉強的なことをしていて、集中力が切れた頃。
カウンターから、女性と思しき声が僕の耳へ飛び込んできた。

「アイス抹茶ラテ、氷抜きで」

一瞬、耳を疑った。今、なんて言った?

店員さんが答える。
「かしこまりました。アイス抹茶ラテ、氷抜きお願いします」

聞き間違いではなかった。確かに、「氷抜き」と言ったのだ。

衝撃が走る。それはきっと、店内の大勢のお客さんも同じだっただろう。
張り詰めた空気が流れた・・・ような気がしたけど僕だけ?

「氷抜き」。それは、この業界(意味不明)では最大の禁じ手、タブーではないのか?

あの女性はきっと、あとで消されるに違いない・・・

そう思っていた矢先。
ちらっとカウンターの方を見ると、衝撃の映像が目に飛び込んできた。
女性は手にグラスを持っている。中には緑色の液体。これが抹茶ラテなんだろう。しかし・・・

液体の量が、通常の3分の2程度しかない!!

二重の衝撃だった。ふっと気が遠くなりそうなのを必死でこらえる。

な、な、な、なんという・・・

まざまざと裏の事情を見せ付けられた瞬間だった。

急に、この世界が実体のない、空虚なものに思えてきた。
世界は、欺瞞で満ちている...
僕は、今まで騙されていただけだったのか...



この日を境に、(っていうか今日だけど)僕の、世界に対する見方が変わった。
所詮、この世はまがいもの。つくりものでしかないのだ。
探し物は何ですか?見つけにくいものですか?―うん。
書館。それは、何でも貸し出しOKの、まさに夢の楽園。

僕は、探していた。
宮部みゆきの「火車」を?
・・・ちがう。

僕は、求めていた。
石持浅海の「扉は閉ざされたまま」を?
ちがう!

欲しかったのは、シチュエーションだった。

「探していた本を見つけ、本棚に近づく。目にはその本しか見えていない。指をのばす・・・。
すると、触れたのは本ではなく、指だった。細く美しい指。
驚いて横を向く。そこには同じように驚いた表情を浮かべた人がいた。
じっと見つめあう。
やがて、笑みがこぼれた。
―それが、最初の出会いだった。」

的な、シチュエーションだった。
なんでも貸してくれる図書館だもの。これくらいのシチュエーション、きっと「日本の小説」のかーき行あたりの本棚に転がっているに違いない。

でも、だめだった。
どこを探しても見当たらない。
隅の「哲学・思想」の本棚まで行っても、ない。
1Fの児童図書を歩いても、見つからない。
もちろん、クラシックCDの棚にも置いていなかった。

なぜ。どうして。
行き場のない疑問が、胸をつく。

そうか。いろいろな条件が重ならないと、このイベントは発生しないのか?
雨の日だとか。
閉館間際で館内に音楽が流れているときだとか。

今までの選択肢を振り返る。
もしかしたら、あそこで「むしろ、たっちゃんが好き」を選択しなければいけなかったのかもしれない。
もしかしたら、あそこで「ラプラス変換を用いる」を選択しなければいけなかったのかもしれない。

・・・汗が頬をつたう。
なんて・・・なんて奥が深いんだ。このダンジョンは。

いずれにせよ、今日のところは出直したほうがよさそうだ。
宿で作戦を練り直すことにする。

魔王を倒して世界に平和を取り戻すまで、もう少し・・・もう少し、がんばろう。
調味料は愛。
日の晩ごはんは何にしようかな・・・そうだカレーにしよう♪
突然思い立ち、スーパーへ足りない材料を買いに行った。

まあ正確に言えば、昨日スーパーへ行ったらカレー粉(とろけるカレー)が安かったからついつい買ってしまってカレーを作らざるを得なかった、ということだが。

たまねぎ・・・じゃがいも・・・にんじんはあったな・・・肉。
牛、豚、鶏。鶏はないとして、牛と豚どっちにしよう。牛は豚の3倍ぐらいの値段。うーむ。
GWだし、奮発だ!
そうゆうことでビーフカレーに決定。

家に帰るとちょうど篤姫が始まる時間だったから見ながら野菜を切り刻む。
たまねぎはぐし切り、じゃがいもとにんじんは乱切りという名の適当切り。
しかし篤姫は面白いよな・・・

それからちょっと勉強して、40分ぐらいで飽きて、再び作業へ。
牛肉を切る。
酒と塩で下味なんかつけちゃって(多分必要ない)。

具材をとりあえず炒める。
いいにおいがしてくる。肉とかでらうまそう。

野菜も肉もしんなりしてきたところで全部同じ鍋にぶちこんで水を少々。そして火にかける。

ここでふと疑問がわいた。
こんないい牛肉を使っていながら、カレーとかいうありきたりな料理でいいのか?
はんごうすいさん(漢字わからねえ)でも作るような簡単な料理でいいのか?

否。
考えた。カレーと同じ材料で調理の過程もいっしょであるもの・・・
よし。ビーフシチューにしよう。
カレー、クリームシチュー、ビーフシチューつうのはそれらの粉の裏に書いてある調理法見ると途中までいっしょで、どの粉を入れるかという違いしかないのよね。

時刻は23時になろうとしていた。まああそこのスーパーなら26時(つまり午前2時)までやってるから大丈夫だろ、と思って自転車でひとっ走り。
この時点では、今日料理をしようとした理由を完全に無視していることに、まだ気づいていなかった・・・

さて・・・しばらく具材をぐつぐつ煮込み、あくなんかとっちゃったりして、30分以上経ち・・・火を止め、ビーフシチューの素を投入。5個に割って入れるんだが、1個ずつ溶かしていれるのが面倒くさい。でもこれさぼると素のカタマリが残っちゃうしな。。

そうして・・・まあこんなもんでいいか。ようやく完成。すでに日付が変わってしまっていた。
「ごはんよー。今日はあなたの好きなビーフシチューよ」
返事がない。ただのしかばねのようだ。
じゃなくて。
今日は何の日だっけ。
そう。GW。
そう。俺は今家にひとりぼっち。。。

せっかく頑張って5人前も作ったのに、食べてくれる人がいない・・・これほど哀しいことがあろうか。
今の気分は、1年前に妻に先立たれ、子供もいない40代のやもめ中年男だった。

まあいいか。今日の晩ごはんはすでに差し入れの寿司とか食べたし、ビーフシチューは明日以降にまわそう。なんたってGWはまだあるんだから・・・
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